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S&P500とオルカン(全世界株式)の組み合わせ投資の効果とは?

investor-kaeru

最近、投資家の間で話題となっているのが、『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』『eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)』を同時に保有する投資戦略についての解説をします。

この記事では、S&P500とオルカン(全世界株式)の組み合わせ投資の効果について詳しく解説します。そのメリットとデメリット、そしてどのような投資家に適しているのかを詳しく説明します。これにより、読者の皆様が自身の投資戦略をより明確に、そして効果的に策定するための参考情報を提供します。

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S&P500とオルカンの組合せのメリットとデメリット

どのあたりに意見の相違があるかを考えてみる

例えば、「人の肌を刃物で切る」という行為を聞いたらどう想いますか?もしこの後に続く文章が「医師が命を救うために手術で🧑‍⚕️」という場合と、「ギャング同士の抗争の果てに🔪」と聞いたら、だいぶイメージが違いませんか?

要するに、その「行為」だけでは判断できず、その目的が大事になります。結局、「”両方買う”という行為」ではなく目的が何か?」が超大事。意味がないのは「目的」に「手段」が合致していない時ですね。結局、どういう目的で S&P500 と オルカン を50:50にして米国株を80%までに比率を高めているかによると思います。

なぜ、オルカンとS&P500の両方を持つのか?

さて両持ちをする理由によるという話をしましたが、どのような理由なら良いのでしょうか?3つ考えてみました。

  1. ファンド・銘柄保有の管理上の理由これは、もう、自由にすればよくて、良い・悪いの問題じゃない。
  2. 投資パフォーマンスの向上の理由これはどうしても米国株の方が近年のパフォーマンスが良いので、問題はない。
  3. 投資のリスク分散の理由(ここが注意):この理由の時だけ注意が必要になると思います。特にSP500が米国一辺倒で怖いから、、、という理由で全世界株式・オルカンを投入する場合です。

とはいえ、インデックスの長期投資は決して間違えではないので、以下のことを認識して投資をしていきましょう。

ファンド・銘柄保有の管理上の理由

みなさん、お給料を目的別に封筒に入れて管理する人もいますよね。それぞれを目的別に管理して、使いすぎないようにしたり、複数の資産が混ざったりしないようにしますよね。こういった管理をしている人に、「銀行口座は一つで、お金の計算をすれば良いじゃないか」というのは意味がないですよね。

例えば、以下のようなことをしたらどうでしょうか?

  • iDeCo & 確定拠出年金:60歳まで解約不可・所得税控除
    • 資産形成重視で長期投資で米国集中ではなくオルカンで投資をする。
    • 非課税を活かすため株式中心。
  • NISA:2024年から新NISA制度がスタートで売却益・配当が国内は非課税!
    • 年金のような資金拘束はなく、自由度が高く先進国ファンドを買う。
    • インカム系も買う。非課税を活かすため株式中心。
  • 特定口座:利益に20%の課税なんでも買える。
    • もう少しリスクを取りたいので、特定口座でNAS100S&P500中心。
    • 資産クラスの分散で債券・REITを買う。

この場合は、そもそも「良いも悪いもない」という感じです。投資戦略を決めて、資産形成・管理をしようと思ったのであれば問題ない。そもそも、完璧で無駄がない狙った通りのスーパーポートフォリオは難しいですよね。そこまで気にしないで良いと思います。

投資をしている方ならわかると想いますが、NISAや確定拠出年金・iDeCoなどの非課税口座、特定口座、複数証券会社を持っていたいすると、金融商品や売買に制約があったりで、狙った通りのポートフォリオを維持するのは簡単じゃないですね。

🐸の結論:全くもって問題ない

投資パフォーマンスの向上の理由

さて、このような理由が多いのではないでしょうか?全世界株式投資(オルカン)だけど、最近のパフォーマンスを見て、もう少しリスクをとって、米国の成長も取り込みたい。」という方。100%株式のハイリスク投資だけど、長期投資で様子を見ながらバランスを決めたい方。

最近、米国株の調子が良いのでそれを全世界にトッピングする場合です。そうするとオルカンの指数であるACWIのETFと、S&P500のETFであるVOOで比率を持たせた後でみると、以下のオレンジの線とグリーンの線の間に、必ず収まります。結局は米国の比率がどれくらい大きいかの勝負になりますね。

Portfolio Visualizer を活用しています。

さて、こうみると、米国株の割合が増えたので、リスク(ばらつき)が増えたのでしょうか?

以下の表、見づらいのですが、、、結局はマーケットのVOOとの相関は0.96〜0.99の間でほぼ同じですね。そして、赤い枠の中の「Stdv(標準偏差)」を見てみると、米国株を少し混ぜた方がむしろバラツキが少なくなります。要するに、米国株を追加した方が、パフォーマンスも高まり、リスクも減ったと言えます。

Portfolio Visualizer を活用しています。

2011年からの期間に限定した結果だけ見ると、米国の比率増は「リスクを悪化させずにパフォーマンスだけ向上できた」という状況とも言えますね。これはまさにオッカムの剃刀です。

オッカムの剃刀(オッカムのかみそり、: Occam’s razor、Ockham’s razor)とは、「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」とする指針。14世紀哲学者神学者オッカムが多用したことで有名になった。

Wikipediaより抜粋

これを言い換えると「同じ結果が得られるならリスクは少ない方が良い」と言え、今の🐸の考えになっています。が、「未来がどうなるかはわからない」のは当然で、米国外を入れるのは、すごく妥当です。🤔

米国でも、全世界でも、インデックスファンドを15年間所有すれば、今までの結果だと、元本割れリスク“がほぼなくなる事を想定しているという点で一貫しています。全世界株式のインデックス投資100%でスタートしたけど、米国株の良さを混ぜて投資序盤のパフォーマンスを高めたいと考えるのは自然ですよね。

米国の情報技術の強さ、世界の距離・経済が縮まって相関も高まる中で、株式地域分散より、米国の強さに少し割合を増やして投資したいという方。「除く米国」の投資信託の選択肢がなく、手数料が安く、資産総額も高いeMAXIS Slim等の投資信託でコントロールしたいという方。(SBI、楽天の“除く米国”のファンドを使っても良いし)

このような理由を考えると、全く問題ないですし、そのような方も多いと想います。「除く米国」の投資信託がもっと増えてくれるとありがたいなと想います。

🐸の結論:全然、問題ないと思う

投資のリスク分散の理由(ここが注意)

今回の中で一番注意したいのが、この「リスクを分散したい」という点です。リスクを分散したいということは、標準偏差を低めたいということです。ただ、この「リスク分散したい」という理由で『SP500にオルカンを追加』する人は意味がない可能性があります

要するに、「オルカンにSP500を追加」する場合と、「SP500にオルカンを追加する」場合ではかなり意味が違ってしまうということです。

ポイントはリスクの分散をするためには、「動きが違う(相関が低い)」ものに投資をすることと言えます。「オルカン」と「米国」では相関係数=0.96となっていて、ほぼ動きが同じです。一緒に上がり、一緒に下がってしまうという状況です。しかも、標準偏差のStdevは14.55%であり、リスクだけ高まり、パフォーマンスは悪化します

Portfolio Visualizer を活用しています。

こう考えると、どのような理由でSP500にオルカンを追加するのでしょうか?

  1. 「米国1国の覇権が続かない。将来、伸びる国にも投資しておきたい」
  2. 「景気、政治、地政学、金利の動向が各国で違うので分散したい」
  3. 「米国1国のインデックスファンドが退職時に暴落してたら怖い」

さて、この中でよく言われるのは「①」ですが、これはもう将来はわからず、いつ発生するかわかりません。「②」「③」は確かに発生しそうですが、オルカンとSP500は相関が高すぎて、結局巻き込まれて、同じ動きをしてしまいそうです。

本当にリスク分散をするにはどのようにすれば良いでしょうか?

🐸の結論:目的に合致していないかもしれません

アセットアロケーションと資産クラスの分散

資産クラスの相関

Portfolio Visualizer(Jan 2011 – May 2023)で代表的な資産クラスを見てみました。一番右にある「Market Correlation」を見てみましょう。この値が相関の値です。

Portfolio Visualizer を活用しています。

米国株式との相関が低いのは「米国債」「金」のようです。「社債」もすごく高いわけではなさそうです。この辺りを持ち合わせるのが、一番の「リスク分散」にはなりそうです。またこの結果を見ると、「不動産」「金」は上げ・下げが激しそうですね。バブルとかもありますし。

また株式のVOO(SP500)VWO(新興国)VEA(先進国除く米国) は相関が高くなっています。全世界(オルカン)も米国、新興国、先進国(除く米国)で見ると特徴がわかります。同じ動きをしてしまう、SP500とオルカンを一緒に持ってもリスクの低減はそこまでできなそうです。

新興国も負けてるわけではない。

もちろん、米国が勝ち続けているわけではありません。2002-2020年末では、米国より新興国投資の方がパフォーマンスが良かったとも言えます。もちろん、こちらは有利な期間を切り取ってますけどね。

Portfolio Visualizer を活用しています。

このように、米国、先進国、新興国、フロンティア国を入れると世界の半分は米国以外。その可能性を捨ててしまう必要もないです。だからこその時価総額加重平均で持つことも重要です。ただし、この期間でも米国と全世界(除く米国)の相関は0.88「勝ち馬」に乗れていますが「リスク低減」は期待通りではないと考えられます。

米国株と米総合債券の相関は「-0.06」で無相関に近いですね。結局新興国に投資をしても、相関は高く、リスクの分散の能力は弱そうで、債券ETFなどに投資をするのも良さそうです。

リスク分散の視点を見てみましょう

リスク分散は色々な方法がありますが、4つを考えてみます。

  1. 地域分散:色々な国々に分散(世界中の様々な国に分散)
  2. 資産分散:色々な資産に分散(株式・債券・REIT・金に分散)
  3. 時間分散:色々な期間に分散(長期投資で価格のブレを抑える)
  4. 価格分散:色々な価格で分散(一定金額での投資を続ける)

これらの分散を組み合わせ、全世界の様々な資産に、ドルコスト平均法を行い、長期投資で配当再投資での複利効果と、リバランスによるアセットアロケーションでのリバランスが重要となります。

ここまでくると、注意したいパターンは”「S&P500」ホルダーが「オルカン」でリスク分散したい”という結論になりそうです。なぜなら「株式」のみの地域分散「米国」「オルカン」の相関は非常に高く、「リスク=ばらつき=標準偏差」はむしろ「除く米国」の方が大きい

そして「リスク分散」なら地域分散より債券・金などの資産分散の方が良いと考えられます。債券は値上がりをしないため「債券は不要である」と言われてしまいますが、500万円と5,000万円で”抱え込むリスク量”が異なります。突然の下落の時に結構な打撃になってしまいますので、リスクコントロールを考える必要があります。

このようなことから、長期・積立投資を続け、世界経済の成長を取り込みながら含み益を重ねていく戦略の方は「オルカン」で全く問題なし。「オルカン」ホルダーがパフォーマンスを上げたいという理由でS&P500を「追加」するのは最近だと良い結果なので自由にするがよし。そしてSP500ホルダーがリスク分散したければ、資産クラス分散をした方が良さそうです。

まとめ

🐸カエル
🐸カエル

結論として「S&P500だけだと不安だからオルカンを追加してリスク分散する」パターンが目的に合致していないように思える」と考えています。あとは自由。

とにかく目標金額まで”増やしたい”という段階は「手数料の低い、分散されたインデックスに積立・長期投資」で良いと思います。ただ完全無欠のポートフォリオの構築は困難ですね。資産量によって ”抱え込むリスク量”は異なってくるので異なる資産クラスに分散して制御する必要がありそうです。

「総額数千万円、インデックスXXXの全力投資」は、下落回復への時間的余裕、 下落に困らない経済力、強靭な精神、インデックスへの信頼、豊富な投資知識を持つ方ができることですね。

リスク許容度を判断をして注意をしていきましょう!

では投資を頑張っていきましょう!!

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