”Tracers全世界株式”の投資信託の信託報酬とコストについて
最近、「Tracers全世界株式」っていう投資信託が出てきて、ものすごい安い信託報酬料が話題になってましたね。一気に、YouTubeで情報が流れてきて、異常な安さにびっくりしました。さてこの中身はどのようなことなのでしょうか?
「Tracers全世界株式」の隠れコストに注意
今までは、そんなに信託報酬料を厳密に隠れコストまで気にしたことがなかったのですが、販売できる証券会社が1社のみ、そして eMAXIS Slim 全世界(オルカン)を狙い撃ちしたような内容であったので、気になりました。
今回は動画の方でもネタにしてみようと細かく調べましたが、信託報酬料に含まれる業務に差があって、各ファンドでも基準がバラバラになっていて、これはわかりにくいなと思いました。これは商品ごとというか、各運用会社ごとに有価証券報告書に書かれている内容が変わっていて、商品というか「会社によりけり」という感じです。ではTracersの信託報酬料が全部安いかというと、そうでもなくて、ある意味一般的かもしれません。今回の全世界ファンドはある意味「異常に安い」とも見えます。
Tracersは委託会社の業務が少なく、その他の手数料(=隠れコスト)にいろんなものが書いてあって、一年後、この費用が隠れコストに乗ってくるのかなとも思うと、なんとも。eMAXISをはじめ、iFree、たわら、SBIアセットなどは比較的、似ている内容。楽天投信も委託会社の費用に含まれる業務が少ないので、隠れコストに注意かなと思いますが、実績を見るとそれほどでもないようです。
eMAXIS Slimなどの他のファンドの対応について
今回の「Tracers全世界株式」に対して、eMAXIS Slim側は信託手数料ではなく実質コストにこだわって、追随しないと書いていました。
信託報酬1%で隠れコストが0.04%だとしたら、「まぁ、そんなものか」と思いますが、信託報酬が0.05%で、隠れコストが0.04%だとしたら、だいぶ意味が変わってきます。ですので今後の手数料・管理費用競争の場合には注意しなければいけないです。
今後、「運用に関する費用」「標章利用料」「目論見書の作成」「基準価格の算出」等は信託報酬料に含めること、、、といったルールなどもできるかもしれないです。
気になるネットの反応や販売会社が少ない点について
今回、それ以上に気になったのが販売会社の手数料がかなり低いという点と、販売会社がSBI証券のみという点です。 一斉に「eMAXIS Slimがオワコン」「SBI証券だけで買える信託報酬最安値」っていう動画が踊りました。もし、何も知らない人が、このファンドを買うためだけに、唯一買えるSBI証券の口座を作ったとして、1年後はどうなってるでしょうか。「有価証券報告書には書いてある」とか言われても、そこまで見れる人も少ないですし、利益度外視でボリュームをとりにいくという会社が出てくると業界が壊れないか心配です。
今後、この商品を売りたいという会社が何社出てくるか、相変わらずSBI証券1社のみなのか、注目したいと思います。