これも読んで衝撃を受けた本です。タイトルだけ見ると、「バカな人」「無知な人」を紹介してたたく本のように思えますが、そうではありません。人間の認知に関する研究をとても真面目に紹介し、その認知のズレや無理解こそが本当の問題なのだと教えてくれます。
印象に残ったのは、「正義」の側に立つことが最大の娯楽であり、「すごくない自分」を支える最後の拠り所にもなっている、という話です。自分が正義だと思うからこそ、顔の見えないネットやSNSで横暴に振る舞えてしまいます。また、群れの中で生き残るために、人は自分を大きく見せようとし、自分の能力を過大評価しがちです。
ダニング=クルーガー効果もその一つです。少し知識を得たばかりの人ほど自信過剰になる、いわゆる「バカの山」。投資でいえば、初心者がちょっとした知識を得たとたん、プロに向かって強い言葉をぶつけ始めるようなことです。こうした人間の行動の根っこを、分かりやすく書いてくれています。
「こういう人っているよね」と思う反面、「自分もそうなのでは」という恐怖心も芽生えてきます。『群衆心理』とあわせて読むと、人がなぜ同じ過ちを繰り返すのかがよく見えてきます。認知とは何か。世の中の人が一度は全員読めばいいのに、と思ってしまう本です。
| 書名 | バカと無知 ―人間、この不都合な生きもの―(新潮新書) |
|---|---|
| 著者 | 橘玲 |
| 出版社 | 新潮社 |
| 発行 | 2022年10月 |
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