投資家カエル

カエルの本棚

現代語訳 学問のすすめ

福澤諭吉 著/齋藤孝 訳(ちくま新書)

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カエルの感想

この本は、単に「勉強しましょう」という話ではなく、もっと深い意味を持っています。学ばない人は、物事を他人のせいにします。政治家や官僚を悪く言う人はよくいますが、政治は国民の写し鏡です。福沢は西洋のことわざとして「愚民の上に苛(から)き政府あり」を紹介し、良い国民の上にこそ良い政府がある、と書いています。政治家や官僚をただ悪く言うのは、空に向かって唾を吐くようなもので、自分の無知を言っているに過ぎない。私はそう読みました。そして、この負のループを抜け出すには「学ぶ」しかない、というのがこの本の核心だと思います。

実学を学び、暮らしに役立つ知識を得ることも大切です。投資も同じで、研究者のレベルを目指す必要はありません。自分の資産をきちんと運用できるだけの、実務的な知識を身につけることが大事なのだと思います。国民と政府は一種の約束で結ばれていて、国民は法を守り、政府は法をつくって国民を守る、という関係です。

いちばん印象に残ったのは、「怨望(えんぼう)」こそが最大の害だという話です。他人をうらやみ、足を引っ張る心。成功した人をうらやんで引きずり下ろし、上の人を見下すことで自分の存在を確かめようとする。のちにニーチェが「奴隷道徳」と呼んだ考え方に、とても近いものを感じました。しかも福沢がこれを書いたのは、ニーチェより10年以上も前です。洋の東西を問わず、人間の心の弱さは同じなのだと思わされます。『バカと無知』の「正義でたたく快感」の話ともつながります。

150年前の本ですが、日本人の必読書と言ってよいのではないでしょうか。

この本に書かれていること

  • 「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」の「と言えり」は「〜と言われている」の意味。それなのに人に差があるのは、学ぶか学ばないかによる、と続く。
  • 学ぶべきは、読み書き、そろばん、地理、物理、経済など、暮らしに役立つ「実学」。
  • 「一身独立して一国独立す」:一人ひとりが自分の頭で考え、自立してこそ、国も独立できる。
  • 国民と政府は約束で結ばれた関係。国民は法を守り、政府は国民を守る。おかしいことには筋道を立てて意見を言う。
  • 「怨望(えんぼう)」、つまり他人をうらやみ、足を引っ張る心が、人間にとって最も大きな害である。

本の情報

書名現代語訳 学問のすすめ(ちくま新書)
著者福澤諭吉
訳齋藤孝
出版社筑摩書房
発行2009年2月
原書学問のすゝめ(1872〜1876年、全17編)

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