1895年、フランス革命から約100年後に書かれた本で、群衆がどう動くのかを描いた衝撃的な内容でした。なぜ衝撃的なのか。ここに書かれていることが、現代の政治や社会、そしてSNSの影響にそのまま通じるからです。
結局、「正しいこと」はなかなか伝わりません。ル・ボンによれば、人を動かすのは根拠ではなく、強い言葉での言い切りです。人は群衆になると衝動的になり、扇動する側に動かされやすくなります。そこに教養のあるなしは関係ありません。
鍵は「断言・反復・感染」です。中身が荒唐無稽でも、断言し、繰り返すうちに一部の人に感染し、やがて大きなムーブメントになります。さらに「威厳」が効きます。政治家、社長、医者、弁護士といった肩書きがあると、主張はなおさら後押しされてしまいます。
『バカと無知』や『サピエンス全史』にも通じる話が出てきます。独裁者や扇動家、悪い意味でのインフルエンサー、迷惑系と呼ばれる人がなぜ支持を集めるのかが見えてきます。「自由・平等・博愛」を掲げながら、ギロチンでの処刑が続いた時代を題材に、人間の認知の不思議を思い知らされる一冊です。
| 書名 | 群衆心理(講談社学術文庫) |
|---|---|
| 著者 | ギュスターヴ・ル・ボン |
| 訳 | 桜井成夫 |
| 出版社 | 講談社 |
| 発行 | 1993年9月(文庫) |
| 原書 | Psychologie des foules(1895年) |
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