投資家カエル

カエルの本棚

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福(上・下)

ユヴァル・ノア・ハラリ 著/柴田裕之 訳(河出書房新社)

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カエルの感想

なかなかページ数の多い本ですが、新たな知見と衝撃をもらった本です。いちばん衝撃だったのは、最初に出てくる「認知革命」です。人間は「実在しないものを信じる」ことで、数百万人、数千万人が同じ方向に動けるようになった、という話です。

うわさ話で互いを知り合える集団は、せいぜい150人ほどだといいます。けれど人間は、目の前には存在しない「神」や国家、お金といった物語をみんなで信じることで、見知らぬ大勢の人とも協力できるようになりました。それが、他の動物とはまったく違う発展につながったというのです。

農業の話も印象的でした。農業が始まる前の狩猟採集の時代、人間は意外と食べ物に困っておらず、病気も少なかったと考えられています。ところが農業が始まると、飢えや病気が広がりました。その一方で、余った食料を手にした指導者層や上層部だけは豊かになった、という見方もできるのです。

みんなが存在しないものを信じる、というのは、投資でいえば、市場で「期待」という目に見えないストーリーや価値を信じていることそのものです。そして、この本を読んだ人が、読んでいない人を思うように動かすこともできてしまうのではないか。そんな怖さも感じさせる本です。上下巻で長い本ですが、視野や考え方を大きく広げてくれると思います。『群衆心理』『バカと無知』とあわせて読むのもおすすめです。

この本に書かれていること

  • 認知革命:約7万年前、サピエンスは「虚構(フィクション)」を信じる力を手に入れ、見知らぬ大勢の人と協力できるようになった。
  • 神話、国家、お金、会社、法律は、どれもみんなが信じることで成り立つ「虚構」である。
  • 農業革命は「史上最大の詐欺」:食料は増えたが、多くの人の暮らしは狩猟採集時代より厳しくなった面がある。
  • 人類を一つにまとめたのは、貨幣、帝国、宗教という3つの仕組み。中でも貨幣は、最も普遍的で効率的な「信頼の仕組み」。
  • 科学革命は「自分たちは知らない」と認めることから始まり、将来への信用(クレジット)が経済成長を支えた。
  • 人類は力と富を手に入れたが、それで幸せになったのかは別の問題だと問いかける。

本の情報

書名サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福(上・下)
著者ユヴァル・ノア・ハラリ
訳柴田裕之
出版社河出書房新社
発行単行本 2016年9月/河出文庫 2023年11月
原書Sapiens: A Brief History of Humankind

本の情報は、ストアの掲載情報をもとにしています(2026年10月6日確認)。購入リンクは文庫版の上巻です。下巻は各ストアでお探しください。価格は各ストアでご確認ください。

本の紹介であり、特定の金融商品の売買をおすすめするものではありません。

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