この本も、『DIE WITH ZERO』と同じように、帯の言葉のせいで誤解されている本の一つだと思います。帯には「『一本買うだけ』の明快さ」とあり、そこから「オルカン1本だけ買えばいい」という受け取り方が広まったように感じます。
私は、この本は、若い人がこれから資産をつくっていくための本というより、投資にあまり詳しくない人が、退職金や相続などで、ある日突然まとまったお金を持ったときに、だまされずにきちんと運用できるようにすることに重きを置いた本だと思います。ただ、これで完全というわけではなく、「最低限必要な第一歩」だと考えています。
特に「オルカン一択で、全部そこに入れておけばいい」というのは、この本の教えとは違うかもしれません。この本に書いてあるのは、まず生活防衛資金を用意すること。なくなってもいいと思える金額の3倍をリスク資産に割り振り、そこをオルカンにすること。それ以外は、預金か個人向け国債(変動金利・10年)に入れること、です。
内容はこのように正確に書かれているのに、「オルカンだけ買って放置すればいい」という極端な解釈が広まり、「老後破綻しないためには、投資をしなければダメだ」という流れになっていると感じます。本の中では、「老後破綻するから投資しろ」というのは金融機関のセールストークだ、投資は有利になる人がすればいい、生活資金をきちんと管理すれば大丈夫なはずだ、という趣旨のことが書かれていて、投資に一定の距離を置いているのが特徴です。
この本も、表紙や帯だけでなく、しっかり中身を読まなければいけない本だと思います。ほかの本と違って、もともと日本語で書かれているので、翻訳の読みにくさもなく、とても読みやすい本です。
| 書名 | 全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 |
|---|---|
| 著者 | 山崎元、水瀬ケンイチ |
| 出版社 | 朝日新聞出版(朝日新書) |
| 発行 | 2022年3月(全面改訂第3版) |
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