この本でいちばん参考になったのは、テニスのたとえにある「ミスをしないことが大事」という考え方です。市場が長い目で見て右肩上がりなら、ミスをせず、じっくり待てばよい。そして大切なのは、銘柄の入れ替えではなく、自分の目標に合わせた長期の方針と資産配分だということ。この本を読んでから、私は資産の分散を考えるようになりました。
もちろん、低コストの株式インデックスファンドで長期投資をすること、コツコツと積み立てていくことの大切さも、よく理解できると思います。
ただ一つ気をつけたいのは、第23章の考え方です。エリスは、資産の多くを子や孫に残すつもりなら、運用期間は自分の人生よりずっと長くなるので、株式を中心にした運用が合理的だと書いています。この言葉を引いて、「子どもに引き継ぐ前提の長期投資だから、株式インデックス一択だ」と言う人もいます。ただ、これは資産の多くを次の世代に残せる人が前提の話だと思います。米国は遺産税の非課税枠がとても大きく(2026年は1人あたり1,500万ドル。1ドル150円なら約22億円)、多くの家庭では税金がかからずに子どもへ引き継げます。日本で同じことをすると、相続税が大きくなることがあるので、相続まで含めて考える必要があります。
それでも、「ミスをしなければ、そのうち伸びていく」という投資の基本を、まっすぐに説明してくれる本だと思います。
| 書名 | 敗者のゲーム[原著第8版] |
|---|---|
| 著者 | チャールズ・エリス |
| 訳 | 鹿毛雄二・鹿毛房子 |
| 出版社 | 日本経済新聞出版 |
| 発行 | 2022年1月(原著第8版) |
| 原書 | Winning the Loser's Game |
本の情報は、書店とストアの掲載情報をもとにしています(2026年10月6日確認)。米国の遺産税の非課税枠は2026年の額です。価格は各ストアでご確認ください。
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